エモーショナルなシンセとヴァイオリン、それらが縁取るハイトーンボイスのロックバンド「レルエ」
こんにちは。
最近、今までずっと使っていた外出用のイヤフォンが壊れちゃいまして。
室内用というか作曲用のは本当にお高いので気軽に外には持って行けず、しょうがないので何も聴かずに散歩していたのですが。
なんか音楽が無いだけで違和感がすごい。今まで自分を覆っていた膜の様なものが無くなったみたいで落ち着かない。気分的に白けた感じになってしまってすぐ帰っちゃいました。
自分がどれだけ音楽に依存していたのか改めて感じさせられましたね。うーん。
まあそんなことは置いといて。今回はあるバンドのお話をします。以前どこかで曲だけは紹介したような気がしますが、
「レルエ」についてです。
いつも通り個人的に好きな部分とか話していくだけですので、まあ適当に読み流していただけたらと。なんなら曲だけでも聴いてもらえればそれでいいです。
とりあえず一曲いきましょう。
以前もどこかで紹介しましたが、レルエの圧倒的な代表曲です。
特徴的なシンセによるエモーショナルなイントロから始まり、淀みないボーカルがメインとなって進行していきます。
何と言ってもこの曲の肝は急に爆発するサビでしょう。ビルドアップの様な段階的な盛り上げではなく、サビでこれまでの控えめなサウンドを打ち破る様に空間が広がっていきます。
これはまさしく曲名の通り、「火花」の様な雰囲気が感じられます。
サビを魅力的なものにしているのは、イントロから効果を発揮しているエモーショナルなシンセと、聞き取りやすくも美しいハイトーンのボーカルです。
この二つはこの曲だけに限らず、レルエというバンド自体が持っている特徴とも言えます。
レルエはギターボーカル、ベース、ヴァイオリン(&シンセ)のスリーピースバンドです。バンドでヴァイオリンと聞くと珍しいと思われるかもしれませんが、まあ意外と探せばいます。とはいえやっぱり珍しい気もしますが。
ヴァイオリンというのがまたバンドに独特な特徴を齎しているのは間違いないでしょう。ギターとかと比べて旋律が清澄で、特に高音の美しい響きは他の楽器にはない強みと言えます。
この曲ではそれが顕著ですね。
イントロから早速ヴァイオリンによる高音の旋律が目立っています。メインとなる中間の音はレルエのもう一つの武器であるシンセが担当し、高音はヴァイオリンが担当することでそれぞれの帯域に異なる強みを持たせています。
これはサビでも変わらず、ちょっと判りにくいかもしれませんがヴァイオリンが薄っすらと高音に存在しています。ここではボーカルがメインとなっている為、イントロ程目立ってはいませんが、これが有るのと無いのでは断然違います。
イントロと比べてサビではヴァイオリンの音程が高くなっており、曲中の音域が広げられています。これによってサビの部分で急に空間が広がったように感じられるという訳ですね。
聴いている側が意識していなくても、存在するだけで音はしっかりと仕事を果たしてくれます。なので作曲者は非常に細かいところまで丁寧にサウンドを設計するのですね。
そう考えると、たまには好きな曲の高音や低音、またはビートなんかに意識を向けて聴いてみると違った発見があるかもしれません。これもおもしろい聴き方の一つかもしれませんね。
閑話休題、話を元に戻しましょう。
レルエがスリーピースながらに低音のベース、高音のヴァイオリンにメインのボーカルとシンセという隙のない構成をしているのが何となく解ったのではないでしょうか。
ここまで紹介した二曲から、シンセとヴァイオリンによるエモーショナルなサウンドを作るバンドという印象を受ける方が多いでしょう。
ですがレルエは唯エモーショナルなだけではなく、様々な独特で面白いサウンドを繰り広げていたりします。ここが個人的に好みなポイントですね。
最初は普通ですが、間奏部分からそれまでとは一変、がらりと変わった雰囲気が展開されます。どこかアラビアンな印象もある不思議なサウンドですが、そこからラスサビへと繋がっていく展開はなかなか面白いです。
この曲はレルエの最新曲ですが、もう最初から独特な雰囲気であるのが解ると思います。ファンタジー的というか、浮世離れしていとでも言うべきか。兎に角、他のバンドと比べてもかなり独特な感じがしますよね。
エモーショナルなサウンドをメインに据えながらも、それだけではない独特なサウンドデザインに挑戦する。これがレルエの面白い所だなぁと勝手に思っています。
唯「エモい」だけじゃない曲が聴きたい方は、是非レルエの他の曲を聴いてみることをお勧めします。
ちょっと短いですが今回はここまで。最後に何曲か紹介して終わりにしましょう。
独特な音色のシンセが目立つ一曲。インベーダーを意識しているのか、随所でピコピコした音や浮遊感のある音が散りばめられている。それが良い。
正統派のかっこいいイントロからぐっと惹きつけられる。サビではハイトーンボイスの強みが存分に発揮されていて心地よい。アウトロのドラマチックな部分が特にいい。
レルエらしさ全開の一曲。シンセ、ヴァイオリン、ベースがかちりとハマっており、何よりボーカルの美しさが完璧にマッチしている。
出るべくして出たなという一曲「ループザルーム」
こんにちは。
連日の寒波にいつも通り体調を崩しました。相変わらず生きていけるのが不思議なほどに軟弱な身体です。生まれて以来付き合ってきた相棒とは言え恨めしい。ですがちゃんと労わってやらない自分も悪いのかもしれませんね。
それはそうと、最近流行りのこの曲です。
Backrooms及びliminalやDreamcoreをイメージした一曲。
ちょっと早めのテンポで非常にリズミカル。軽い音が中心な構成なのも相まって、まるで跳ねるかのように進行していきます。雰囲気はまさにDreamcoreで、郷愁の混じる明るさと言い知れぬ不気味さが同居しています。
音色はRagtime coreを想起する程に煌びやかですが、それがどこか影のある雰囲気とのギャップを生み出しています。
この曲の面白い所は全体を通してループ、繰り返しといったテーマが徹底されている所です。
展開はEDMノリの所謂爆発するタイプのものでは無く、ビルドアップをちょっとすかして流麗にそのまま進んでいく印象です。だからか全体で見ると勢いに波が無いように感じられます。これがまたテーマ的な雰囲気の演出となっています。
かといって平坦なわけではなく、パン振り等の解りやすいキメや効果音的なフィル、エフェクトによる雰囲気の変化が短い中に詰め込まれており、飽きさせない工夫が要所要所で光っています。
サビは特に面白いです。注目すべきは「4回」の繰り返しでしょう。
サビで同じフレーズや歌詞を繰り返すというのは音楽において割と常套手段です。人間は構造上というべきかは解りませんが、反復されたものが記憶に残りやすいです。これを利用することで、初回から印象に残りやすいサビが生まれるという訳ですね。
ですが、基本的に用いられる繰り返しは3回までがほとんどです。何故かというと、単純に過剰だからですね。反復には先ほどの様な効果もありますが、単調になってしまうが故に飽きられやすいというデメリットも内包しています。
それを踏まえてみると、4回の繰り返しのみで構成されたサビはなかなかにとんでもないというか、作曲者の度胸が凄いです。私だったら躊躇してしまいますね。
ただまぁ、この曲においてはこれが正解なのは間違いないと思います。過剰なまでの繰り返しは曲のテーマにもストーリーにも完璧に合致していて、これ以上にないシナジーを発揮しています。むしろこれ以外にない気がしてくるほどです。
また、曲だけでも素晴らしかったものが、MVがついたことで更に昇華されています。
視覚的に感じられることでliminal感が段違いに強くなりましたし、「狭いのに茫洋としている」というある種矛盾したBackrooms的雰囲気が増していますね。
焦燥感と絶望感が目に見えて解りやすくなったからか、明るさと暗さのギャップもより深くなった気がします。
雰囲気だけでなく、リズミカルさも強調されています。特にサビではキックと連動して動くイラストがノリを加速させていますね。4回というのが視覚的に見れば収まりが良く、繰り返しに更なるメリットを与えています。
凄いなぁ……。音楽におけるアートワークの重要性は散々書いてきましたが、このMVはお手本みたいな出来ですね。
長々と話しましたが、実際言いたいことは一つだけです。
良い曲。それだけです。
こりゃヒットするわ。
いやー、しかし。
出るべくして出た一曲という感じですね。
何れこういう曲が出てくるんじゃないかなぁというのは何となく予想していました。
liminalというと数年前に流行ったもの的な扱いをされますが、海外では普通に今も人気です。そのうえで今のliminal周辺と音楽の関係はより近くなっていて、Dreamcoreとかと紐づけされる曲は増え続けています。
これはちょっと古いけど
日本ではいまいち盛り上がっていない印象かもしれませんが、未だに続く海外の人気に牽引されて(すんごい局所的に)人気が出てきています。ここ数年ではliminalをテーマにした曲をリリースするアーティストも増えてきました。
これなんかはもう普通に人気な感じですね。
今の音楽は爆発すれば凄いですから、この流れなら今後とんでもないヒットをかますliminal曲が出るというのは想像に難くありませんでした。そしたら案の定でしたね。予想よりちょっと遅かったですが。
こうなると期待できるのが、後続も出てくるんじゃないかという所です。というかもっと流行ってくれないかしら。
出るべくして出たこの「ループザルーム」という一曲が果たしてどういう流れを今後生み出していくのか、楽しみですね。
無駄を削ぎ落したTechno中のTechno。プレイで輝くMinimal technoを敢えて家で聴く。
こんにちは。
最近めっきり寒くなりましたね。
私は末端冷え性な人間ですので、何の作業をしていても手が悴んで大変です。
両手を合わせてすりすり擦るのが癖になってしまいました。外でやるとちょっと恥ずかしい……。
そんな話は置いといて。
今回は音楽ジャンルの紹介です。
紹介するのはMinimal technoです。
ミニマルという名の通り、非常にシンプルな音楽です。Chicago houseの時にも言いましたが、この手の余計なものを取り払った音楽というのは一定の需要があります。
それは多彩な音色や展開を繰り広げるEDMが溢れる現在でも、いや、むしろ現在だからこそ好んでMinimal technoを聴いている人もいます。私とか。
何故このように無駄を削ぎ落すことになったのか、そこには音楽の歴史が詰まっているのですが、まあ……。
いつも通り難しい歴史の話とかはしません。唯々私が個人的に好きな部分とか話していくだけですので、そういうのに興味のない方は曲だけでも聴いていってください。音楽は聴いてもらってなんぼですからね。
それでは早速、聴いていきましょう。
Minimal technoにおいて帝王とも言われる程のアーティスト、Richie Hawtinの一曲です。キックの四つ打ちから始まり、2、4拍にスネア。まさしくTechnoそのもののビートの上にはメロディですらないシンセの単音が延々と同じ調子で繰り返されます。
一見何の展開もないように聴こえますが、ちゃんと聴いていれば細かい音の抜き差しやサウンドの変化が有るのが解ると思います。全体を通して派手さとは無縁の、ビートが主体となった所謂いぶし銀な音楽といえるでしょう。
どうでしょうか。Minimal technoがどういう音楽なのか、一発で解ったのではないでしょうか。前振りの時点で想像はついていたかもしれませんが、少ない音数で繰り返しに繰り返しを重ねる、言ってしまえば平坦な音楽です。
ですが、「平坦だから詰まらない」とはならないのがこのジャンルの魅力であると私は思います。このジャンルには、派手な音楽では決して味わえない独特の面白さがいくつかあります。
まず一つはChicago House等と同様に、無駄な装飾のないビートとシンセを味わえるという点です。本来はビートこそがダンスミュージックの中心であり、クラブやパーティで踊る為の指標として重要視されていました。
「体を揺らす」という行為に最適なビートは何なのかというのを研究、計算し続けてきたアーティストの、シンプルながらに洗練されたビートはそれ単体で凄まじい牽引力を持っています。
しかし家、さらに言うと個人で聴くものとしての側面が強くなっている昨今のEDM環境においては、聴いていてわかりやすいメロディの方が重要視されがちです。
これは決して悪いことではありませんが、聴き手側にあまりビートが意識されなくなっている部分も少なからずあります。研鑽された末に作り上げられた至高のリズムが着目されないというのは少々勿体ない気がします。
その点余計な要素が削ぎ落されているMinimal technoでは、ビートが中心となっている為、嫌でもリズムを中心として音楽を捉えることができます。これはMinimal technoというジャンルにおいて無視できない要素であり、面白さです。
また、こういったジャンルでは音数が少ない分、一つ一つの音が非常に目立ちます。そのためアーティストは細かな音一つとっても、入念な調整をします。その追求の果てに生れる深いサウンドを味わうことができるのもこのジャンルならではです。
ハットが裏箔である為全体的に軽妙でリズミカルですが、重いながらに張りのあるキックがメインとなって、要所要所にアクセントとなる音が散りばめられており、これによってどこか暗い印象を受けます。
軽い音と重い音のバランスに始まり、音の深さや残響の距離、サウンドの配置と選択。こういった部分を徹底的に調整したサウンドは非常に深く、またアーティスト毎のカラーを強く感じられる部分でもあります。
これを楽しむことができるのがMinimal technoの魅力であるわけですね。
色々と好き勝手に個人的な所感を書いていきましたが、一応ちょっとはちゃんとした特徴にも触れていきましょう。
何度も書いている通りMinimal technoは無駄を排したジャンルですので、他のジャンルみたいな展開は凡そありません。ではずっと同じなのかといわれると、そんなことは無いです。
ちゃんと聴いてくださった方なら気が付いているとは思いますが、何度も続く繰り返しの中で微妙に使われている音は変化しており、絶妙にサウンドを変えながら最後まで反復していく、というのがMinimal technoです。
全く同じ調子のまま段階的に変化していく、これがまた独特な部分ですね。変化と反復が同居するとは、本当に不思議なジャンルです。
さて、Minimal technoについて色々と書いてきました。こうしてみると、改めて魅力のある音楽だなぁと思います。
とは言え、あまりにも解り辛いというか、やはり人によっては大して面白くないと感じてしまうのもしょうがない部分ではあります。
本来ならあまり家、個人で聴く音楽では無いですからね。実際のクラブなんかでプレイされているのを聴くとまた違うと思います。ですので興味がある方は是非、耳だけでなく体で感じてみることをお勧めします。まあそれもなかなか難しいと思いますが。
ちょっと短いですが今回はここまで。何曲か紹介して終わりにしましょう。
兎に角深い上に硬質。中盤から終盤にかけてのシリアスな雰囲気が堪らない。後シンプルにアートワークがかっこよくて好き。
感覚的にはExperimentalの方が近いか。やや早めのBPMと何とも言えない振動じみたサウンドが、どこか不気味な雰囲気を作り上げている。少ない音数でこの印象を聴くものに与えるのは面白い。ちなみにBandcampの方は音圧のバランスが素晴らしいので是非一聴してみてほしい。
Darkwaveとかいうなんか暗くて良く判んないやつ
こんにちは。
新年早々痩せました。
普通正月太りするもんじゃないかしらと思ったのですが、考えてみればご飯も食べずにずっと作業に没頭するのを繰り返していたらそりゃそうなるなと。作曲しているとついつい食事を忘れてしまいます。良くないなぁ。
そんなわけで今年の目標は一日二食、できればいっぱい食べる、にでもしようかなと思います。これでいいのか……?
とまぁ、私のしょうもない近況は置いといて。
音楽ジャンルの紹介です。
今回はちょっと難しい話をごちゃごちゃとしていくことになると思いますので、そういうの興味無いという方は是非曲だけでも聴いていってください。聴くことにこそ価値がありますからね。
それで、今回紹介するのはDarkwaveです。
まぁ先ずは一曲聴いてみましょう。
みょんみょんしたシンセの単一音から始まり、ビートと共にちょっぴりムーディな女性ボーカルが入ります。畳みかけるようなサビのボーカルも魅力的ですが、個人的に好きなのは各所に散りばめられたシンセによる緊張感のあるサウンドです。
全体を通して繰り返し感のあるメロディが中心でどっしりと構えており、その周りを装飾するように様々な異なるサウンドが展開されるため、安定していながらも飽きさせない作りになっています。
なにより、Darkと名を冠するに相応しいダークな雰囲気が非常にクールです。
そう、ダーク。
聴いてもらった曲の様に、シンセを中心とした暗い雰囲気のサウンドがDarkwaveの重要な特徴の一つです。まあ名前の通りですね。
それに次いでボーカルが起用されているというのも外せません。名前が似ているSynthwaveやDarksynthは基本的にインスト曲が多いので、そういう点では区別の大きな指針になりますね。
さて、ここからDarkwaveについて本格的に話していく訳ですが、まず最初に言っておかなければならないことがあります。
私はDarkwaveが何なのか判っていません。
いつものことだろと思われるかもしれませんが、今回に関してはちょっと事情が違います。
実を言うと、このDarkwaveというジャンルは非常に曖昧なんですね。これまで音楽ジャンルの曖昧さについては散々書いてきましたが、その中でも突出して領域が不明瞭なジャンルだと思います。
何故そんなに不明瞭なのか。
その話をするにはDarkwaveの歴史について触れる必要があります。
いつもはそういうめんどくさい話はしないのですが、今回はちょっと面白い部分でもあるので、ある程度かいつまんで説明しようと思います。
ちなみに、私よりもDarkwaveを知悉している方が丁寧に歴史を説明してくれている記事なんかもありますので、ちゃんと詳しく知りたいという方は是非自分で調べてみてください。非常に為になりますので。
それではDarkwaveを遡っていきますが、このジャンルが生まれたのは大体1980年頃です。この時代といえば、以前紹介したSynthwaveの元となるnew waveが流行していました。
new waveもまた説明が難しいジャンルです。「多様なジャンルの融合が起こり誕生した様々なスタイル」を内包した包括的なジャンルですので、一概にこういう音楽だ、とは言えないのですね。
ジャンルというよりはムーブメントと捉えた方が解りやすいかもしれません。
70年代後半~80年代前半、ロックを中心に色んなジャンルが混ざり合って新しい音楽を作るムーブメントがあり、そこで生まれたものをまとめてnew waveと呼んでいる、大体そんな風に捉えておけばいいと思います。
このnew waveと当時発展していたpostpunk、この二つの中で主流と比べてちょっと暗い音楽と見做されたものをDarkwaveとぼんやり呼び始めたのが始まりです。
一応Darkwaveと括られる曲は雰囲気的なものだけでなく音楽的な傾向もありまして、new waveの主流と比べて遅いテンポ、低い音程、そしてマイナーキーを基調としているという特徴の曲を指してそう呼んでいたようです。
とはいえ、非常に包括的なnew waveだけでなく、postpunk周辺の音楽までまたがっている為、この時点からすでにDarkwaveは包括的というか、いろんなジャンルが混在する良く解らない括りとして存在していました。
そのふわっとした存在は、ある出来事を経てさらに混迷を極めることとなります。
それはDarkwaveという名前がアメリカで宣伝として使われたことです。この流れで誕生したDarkwaveのアーティストやレーベルはある程度の人気を博し、その名を広めていくことになります。
しかしここで問題となるのは、アメリカでDarkwaveというラベルを張られた音楽たちは、それまでそう呼ばれていた音楽とは違ったものであった、という点です。
つまり、本来の「new waveの暗い感じの曲」ではない音楽がDarkwaveとして広まっていったという事ですね。
この時点でDarkwaveには定義などなく「何となく」そう呼ばれていたために、この新しい音楽をDarkwaveではないと言い切る事も出来ませんでした。まぁ、そもそも最初の頃から若干良く判らない言えばそれまでですが。
そのため、何となく違うんだけどなぁという音楽を含めてDarkwaveと呼ぶという、?マークがいくつも頭上に浮かぶであろう意味不明で面白い事態が起こります。それはこのジャンルの定義不明さに拍車をかけることとなります。
その後も、Darkwaveは本来含まれるのかどうかも良く判らない音楽が混在したまま、他のジャンルとも接触したりしてその輪郭をより不透明なものにしていきます。
そのまま現在へと繋がっていく訳ですが、定義が不明なこのジャンルは今でもときどき「本当にDarkwaveなのかなぁ」という曲にその名前を使われたりしています。前例がある為、余計にその傾向は強いです。
例えば、暗めのSynthwave曲にその名前を使われていたり。
この曲はDarkwaveのタグが着けられていますが、聴いている人たちはSynthwaveと認識している人が多いです。実際の所この曲がどちらなのかは判然としません。別の曲ではDarksynthと両方タグが着けられているのもあります。
この辺りが混在しているのは、80年代の音楽を基としたSynthwaveが人気を博したことで、Darkwaveにも再び注目が集まり、同時期にある程度盛り上がったからだと思います。
そのためDarkwaveをSynthwaveの一部だと思っている人もいるみたいですが、Darkwaveはnew waveの一部ですので文脈的にはむしろSynthwaveのルーツに当たります。
そう考えるとこの曲は「ボーカルがあるDarksynth」というべきな気がしますが、Darkwaveというジャンル名を使う場合、明確にこれを否定することはできないような気がします。
定義が無いまま内包する音楽が増えた結果、このジャンルは辛うじて存在していた輪郭すら失った「定義のないなんか暗い音楽」になってしまったからですね。
他にも、以下の曲のような、高い再生数を持ついくつかの楽曲が何故かDarkwaveとして扱われて纏められたりもしています。
この曲たち自体は別にDarkwaveを名乗ってはいません。上の曲なんかはDream popとタグ着けられていますので、普通に考えれば別のジャンルなんですね。
ただ、こういった曲を纏める際に、何と呼ぶのか解らなかった結果Darkwaveという名前が符号として用いられたのではないかと推察できます。
アメリカでDarkwaveとラベリングされた音楽は、本来Dream pop系と呼ぶべき音楽だったためその繋がりで使われているのだと思います。
明らかにジャンル違うのでは?という気がしなくもないですが、やっぱりDarkwaveだから否定はできません。なんだそれ。
長々と書いてきましたが、まあこんなですから、Darkwaveって何?と聴かれると「なんか暗くて良く判んないやつ」みたいな答えしか返せません。
詰まるところ実態を置いてきぼりに名前だけが独り歩きしているジャンルというべきな気がします。でもそういう所がこのジャンルの面白い所なんじゃないかと思います。
今回はここまで。ちょっと長くなってしまいました。本当はもっと書きたいことがあったのですが、文字数の関係上終盤は駆け足気味になってしまいましたね。
その辺りはいつかちゃんと書きたいなと思います。最後に何曲か紹介して終わりにしましょう。
Dream popとかその変な気がするが、Darkwaveのタグも付けられている。ゆったりとしたビートにのる繰り返しのメロディがどこか牧歌的で安らかな印象。
シンセ、ビートと共に重く迫力のある一曲。MVも見たまんま暗く、まさにダーク。ただそれだけではない高揚感みたいなのも感じられて、兎に角かっこいい。
新年のあいさつと年初めに聴いた音楽
こんにちは。
挨拶としては少し遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年もひっそりと音楽の話を更新していくつもりですので、どうぞよろしくお願いします。
ところで皆さんは新年一発目、何の曲を聴いたでしょうか。
私は年明けで一番最初に聴く曲を毎回慎重に選びます。まあ特に深い意味はないんですが、願掛けみたいなものです。
自分の曲じゃなくて他のアーティストが作った曲を聴いて、前年の振り返りと共に今年はこれを超えられるようなものを作るぞーと気合を入れるわけです。
それで、2026年一発目はこの曲にしました。
私の大好きなアーティスト、Deathbrainの待望の新曲です。atmospheric DnBの名に違わない縹渺たるシンセの広がりは捉えどころがなく、しかし非常にエモーショナルです。
いつもみたいな激しいビートではなくテンポもゆったりしていますが、サビ前の静けさから一転して爆発するサウンドは迫力があります。流麗なボーカルも相まって、このメリハリは強力な牽引力にもなっているわけですね。
どこか寂しさのある雰囲気が感じられますが、儚さだけではない力強さも同時に存在しています。それは読み取れた歌詞が希望に満ち溢れ、聴く者の背中を押すような内容であることからも感じられます。
それまでのDeathbrainらしさはそのままに、しかしそれだけではない進化したサウンド。これからが非常に楽しみですね。アートワークの製作技術も進化しており、それ含めてアーティストとしての表現の幅の広がりには目を瞠るばかりです。
誇張なしに昨年一番聴いたアーティストでしたから、割と妥当な選曲だなぁという気がします。
とはいえ実は結構迷っていて、他の候補もいくつかありました。
去年を象徴する一曲なら間違いなくこの曲を選んでいました。もはや言葉で語ることは意味ないレベルですね。ここ数年でも類を見ないぐらい凄い曲だと思います。というか凄すぎて普通に悔しい。
ただ目標とするにはちょっと畑が違いすぎるので選びませんでしたが、それでも迷うぐらいには兎に角印象的でした。私がシンガーソングライターだったら心折れてたかも……というほどのインパクト。
ベースとか低いピアノの重く錆びついた感じも好きですが、一番気に入っているのが一サビ前の「IRISOUT」と共に鳴っている軽やかなスネアです。なんか丁度いい隙間に収まっているというか、凄いしっくりきます。
米津玄師は果たしてどこまで行くのでしょうね。
何で今?と思われるかもしれませんが、私にも良く解りません。でも昔聴いていた曲に再びハマる時期ってありますよね。Ambient系では今年一番聴いていた気がします。暖かな雪の雰囲気がもう戻ることはない故郷を思い起こさせるからかもしれません。
シンセによる柔らかくもちょっと跳ねていて、とても耳障りのいい音が絶妙にメロディになりきらない。改めてノリとか迫力だけが音楽の花ではないのだと思い知らされます。
個人的にはこういう曲を作ったり聴いたりするのが一番好きかもしれないですね。唯のAmbient Electronicaには収まらない面白さがあるという所が非常に好ましいです。こういう曲が作りたいという点で候補に挙がった一曲です。
以前ブルーアーカイブの曲を聴いてソシャゲ曲を勉強するという特別編で聴いた一曲ですが、それ以来なんかずっと聴いている曲です。未だゲームはプレイしていませんが、いつかやりたいなぁ……。
このブログを始めていなければ出会えなかったかもしれないと思うと、やってよかったなーと思います。こんな良い曲を知らないなんて勿体ないですからね。うん。EDMの面白い部分が詰まっていて、聴くたびに面白いなと思います。
以前も書きましたが、やはり最初のドロップからの展開が非常に小気味よく美しいです。良い意味でリズムに振り回される感じが堪らないですね。
今年は他のソシャゲ曲とかも聴いていけたらいいなと思います。
初めて聴いた時、なんか音楽ってこれくらい自由なものよねーと改めて思わされた曲です。切れの良いイントロから始まるのは、ボーカルをある意味楽器やサンプリングっぽく使った不思議なインスト風ボーカル曲です。
歌詞はあるけどそれを聴かせるのではなく音を聴かせることに重点が置かれている気がします。星野源というアーティストの作る曲は単なるJpopでは終わらない面白さがあっていいですよね。
MVも見ていて非常にワクワクする映像です。どうやら別分野で活躍されている方が製作したらしいですね。私が初めて作曲したときもこんなワクワクがあったなぁと勝手に懐かしい気持ちになりました。
夢があって、色んな世界がどんどん広がっていく。何だか初心に帰るという意味で非常に印象に残った一曲でした。
ざっとこんな感じの候補がありました。他にもまだあるのですが、数が多かったので特にというものを挙げてみました。
でもこうしてみると好きな曲が偏ってますね。有名どころばかりですし。選択曲が一番有名じゃないまであります。まあそこまでマニアックな人間ではないのでこんなものでしょう。
これで終わるのも寂しいので、折角ですしこれまでの年初めに選択した曲もいくつか紹して終わりにしようと思います。以前ブログで紹介した曲が多いですが、そこはまあ。それだけいい曲という事で。
2023年か2年かは忘れましたがその辺りの選択曲です。ずっと公式が投稿してくれないかなーと待っています。
初見で聴き惚れたまま今日までずっと聴いていますが、何度聴いても構成の美しさに惚れ惚れします。当時私が目指していた全てが詰まっていたように感じられます。
静謐さと陰鬱さが絶妙に混ざった雰囲気とは裏腹に硬質で激しくスピーディなビート、空間を広げるシンセと儚いピアノ、そして雰囲気を壊すことなく且つ苛烈に曲のラストを飾る、シューゲイザーじみたギター。
本当に色んな意味で美しい一曲です。
2024年はこの曲。兎に角初めて「見た」時のインパクトが強すぎました。これほどアートワークが曲にもたらす影響というのを上手く使いこなしている曲もないと思います。
聴けば聴くほど只管シンプルな構成ですが、シンセといいビートといい全体的に微かな違和感が漂っています。
ビートのフィルタイミングが偏っているというのは最たる例で、これらの違和感は最終的にアートワークに収束し、この独特な雰囲気を作り上げています。多分死ぬまでこのアートワークは忘れないんじゃないでしょうか。
そういえばこの曲と近い時期に発表されて、再生数も伸び方も近かったことから何となく同じ位置にあった「See You To_No_More」という曲があったのですが(以前紹介もした)あらゆる音楽サービスから削除されてしまいました。
悲しい……。
どうも宗教上の理由らしいですが、こうやっていい曲が公式から無くなるのは何度経験してもがっかりしてしまうものですね。作曲者本人の決めたことなのでしょうがないですけどね。
この曲は確か2010~15年あたりに一度どこかで選んだような記憶があります。当時はボーカル曲を作っていたので。
滅茶苦茶センスがあるのに日本では全然知名度が無いデュオFrou Frouの不朽の名作です。サビの唸るような、少しスペーシーなシンセが天才としか言いようがないですね。
特異なことをしているわけでもないのに、他のアーティストには決して真似できない「雰囲気」としか表現できない何かが完成されているように感じます。
このレベルのアーティストであっても売り上げが振るわず一度解散したことを鑑みるに、やはり音楽で売れるというのは難しいというか、運とか流れみたいなのが必要なんだなぁと感じます。
ちなみにDnBとかBreakcoreとかの所謂混同されがちなジャンルでは、Frou Frouの曲が良くサンプリングされている印象です。
やっぱりセンスがずば抜けているからでしょうか。正直サンプリングしたくなる気持ちは良く解ります。無茶苦茶カッコいい……。
はい。
新年一発目ですが、ただ私が好きな曲を紹介して好きに喋るだけでしたね。まあ大体いつもそうなんですが。
こんなグダグダな感じですが、誰かの新しい音楽への出会いを手伝えるように更新していきますので、改めて今年もよろしくお願いします。
VaporwaveとSynthwaveの違いは明確のようで、その実ちょっと複雑。
こんにちは。
これまで長々とSynthwaveについて書いてきましたが、今回で漸くラストです。何でこんなに長くなったのでしょうかね……。確かに好きなジャンルではありますが、別に思い入れが有るとかでもないので我ながら不思議です。
前回はサブジャンルについて主に話しましたが、その中でSimpsonwaveを経由してついにVaporwaveが出てきたところで終わりましたね。
あまり詳しくない人からすれば違いが解り辛いであろうSynthwaveとVaporwave、果たしてこの二つがどういった違いを持っているのか。それについて書いていこうと思います。
とはいえ先ずは一曲聴いていきましょう。これが無いと音楽の話は始まりませんからね。
初っ端から迫力があるシンセが力強く出迎えてくれます。他の曲と比べるとノスタルジー要素は薄めで、MVからも見てわかる通りサイバーパンクのような世界観が曲を通して広がっています。
シンセの迫力に耳が寄りがちですが、繊細に調節された絶妙に硬派でシリアスなサウンドは、聴く者をサイバーパンクの世界に没頭させます。Synthwaveの中でも「カッコよさ」が目立つ一曲です。
さて、ここからVaporwaveとSynthwaveの違いについて書いていきましょう。
正直Vaporwaveを聴いたことがあって且つここまでSynthwaveを聴いてくださった方なら、説明はできなくとも何となく違いがあることは感じたのではないかと思います。実際その通りで、この二つは明確に違いがあるジャンルだと言えます。
SynthwaveとVaporwaveは音楽的な面から見てみればそれほど似ていません。それなのに混同されているのはビジュアル面が非常に類似しているからです。Synthwaveのシンボルとして扱われるヤシの木ですが、これはVaporwaveのシンボルでもあります。
他にも、Vaporwaveでは古いコンピューターゲーム等のグラフィックがシンボルとして扱われていますが、Synthwaveもまた「out run」のような古いゲームから影響を受けています。
これらは「古い」ゲームという点で傍から見れば同一の物の様に見えてしまう訳ですね。また、どちらもノスタルジーに重きを置いた懐古的な美学であるということも雰囲気的に二つを似せている要因となっています。
この雰囲気的というのが厄介で、他のシンボルは似ているものがあまりないにも関わらず、パッと見似ているという印象を与えてしまっているのですね。
音楽的な面に関しても同じで、どちらもノスタルジー漂う曲調であるが為に近い音楽と捉えられてしまうのも無理はありません。
ではこの二つの明確な違いとは何なのか。それは音楽的な新しさにあります。
Synthwaveが音楽的に単純な80年代のリバイバルではなく、比較的新しいものであることは以前話しましたね。それに対してVaporwaveは実際の80~90年代の曲やCM等をサンプリングしてエフェクトをかけたりするのが主です。
Vaporwaveが当時の音源をそのまま使ったリバイバルじみた、言わば「当時そのまま」の古さであるのに対して、Synthwaveは現代的な音楽で「当時っぽい」古さを表現しているという訳です。
つまりSynthwaveの方が音楽的には新しいと言えます。聴いた感じSynthwaveの方がサウンド的に洗練されている感じに対し、Vaporwaveは加工色が強く出ている印象です。
まあ簡単に言うならVaporwaveがサンプリング主体、Synthwaveが打ち込み主体ということです。
こういった違いがある為、VaporwaveとSynthwaveは明確に違う音楽なのですね。
ただ、これは大部分に当てはまるというだけで全てがそうかと言われるとちょっと難しい所があります。
日本のVaporwave好きの中では有名な「新蒸気波要点ガイド」という書籍があります。内容としてはVaporwaveに分類されるアルバムを年代ごとに紹介しているものです。
当然私も読んだのですが、著者と書籍内で紹介されているアルバムの評を書いている方たちの対談を読んで気になった部分が有りました。
それはVaporwaveとSynthwaveの違いについての話題でした。Synthwaveにはスクリューが無いという違いは挙げられましたが、サンプリングと打ち込みでの区別には疑問が挙がります。
ここではEquipというVaporwaveアーティストが手弾き、打ち込み主体でありながらもサウンド的にはSynthwaveではないことが言及されます。
また、SynthwaveとVaporwaveの関係の複雑さの例としてこの曲の収録されたアルバムも挙げられます。
聴いてみれば良く解りますが、サウンド的には滅茶苦茶Synthwaveです。しかしこのアルバムは2018年のVaporwaveを代表する一枚として扱われていることが述べられています。
このように、中にはVaporwaveがサンプリング主体、Synthwaveが打ち込み主体という区別では収まらなものが存在しているのは事実です。
他にも、テレパス等を始めとするAmbient色が強いVaporwaveの中には、サンプリングがほぼ使用されていない打ち込み・手弾きが主体のものもあったりします。
そもそもの話、この二つのジャンルを完全に区別しきるのは難しいように感じます。というのも、音楽ジャンルと言うのは非常に流動的なものだからです。
進化の過程で他ジャンルの影響を受けたり混じったりするのは言わば音楽の常ですが、VaporwaveとSynthwaveは流行時期が近しいこともあり、ジャンルとしての領域が被る部分や僅かに合流しかけていた部分もあります。
そしてジャンルとして区切る場合、そういった部分を排除することはできません。言わばこの二つのジャンルは、不可分な側面も音楽的文脈として持ち合わせているという訳ですね。
まあ色々ごちゃごちゃ言ってきましたが、結局のところVaporwaveがサンプリング主体、Synthwaveが打ち込み主体という判別は基本的に間違いではないと思います。ただジャンル的にそれが絶対の定義ではないという事だけ注意が必要です。
まあ音楽ジャンルなんて完璧に定義されているものはほぼ無いと言っても過言ではないですから、別にいつものことではありますね。
過去一の長さになったSynthwaveもこれで終わりです。うーん、長かった。
ただ書いてて思いましたけど、やっぱ面白いですね、Synthwave。
というよりこの辺りのジャンルは全部面白いです。ミームだったり美学だったりもそうですが、なんでそんなところと繋がってんのか良く解んない意外な繋がりに出会うこともありますし。
気に入った方は是非、色々調べてみてください。本当に楽しいので。
最後に何曲か紹介して終わりにしましょう。それでは。
ストレートなSynthwaveサウンドだが、シンセの音が兎に角深い。空間的な広がりが感じられるサウンドに是非注目してもらいたい一曲。
純粋なSynthwaveと言うにはBit色が強い、その名の通りKeygenミュージック。この曲はCyberpunk的側面でSynthwaveと接続している。なにより、只管カッコいい。
Synthwaveサブジャンルに対する所感とその分け方
こんにちは。
続きものなのに時間が空いてしまって申し訳ありません。
12月はゆっくりできるなーと思っていたのですが、さすが師走。どかどかと依頼やらプロジェクトやらが来てめちゃんこ忙しくなっていました。合間を縫ってちまちま書いていたのですが、先週はその余裕すらなくこんな期間が空いてしまいました。
こりゃ年末もバタバタしそうですね……。まあしょうがない。
そんな個人的なことは置いといて。
今回も引き続きSynthwaveについて書いていきます。
前回はSynthwaveのサブジャンルについて話そうとしたところで終わりましたね。なのでその続きからですが、サブジャンルだけではなくVaporwaveなんかの他ジャンルも絡めた話をしていこうと思います。
まあ、前置きはこのくらいにして、先ずは一曲聴いてみましょう。
Synthwaveで他ジャンルとの融合という観点の話をするならば必ず避けては通れないアーティスト、HOMEの一曲です。
他のSynthwave楽曲と比べてメロディに動きが多く、繰り返しが多いにもかかわらず全く飽きが来ません。シンプルながらもノリの良いビートと合わさることで、全体的にリズミカルな雰囲気を作り上げています。
だからと言って激しいわけではなく、音色やメロディ自体は非常に温かみがあり、このジャンルの持つ柔らかさや安らぎといった面は健在です。リズミカルさとゆったりした茫洋な雰囲気を両立させるのは流石HOMEと言ったところです。
今回はSynthwaveのサブジャンルやスタイルについて書いていくという話でした。これについて話すなら、前回もちらっと触れた「out run/Synthwave/Retrowave essntial Album Chart」という画像を抜きにはできません。
https://www.reddit.com/r/outrun/comments/7j2nta/i_made_an_outrunsynthwaveretrowave_essential/
この中ではSynthwaveとout run、そしてRetro waveは明確に分けられています。
唯それぞれの違いを説明するとなるとやっぱり難しいというか、やっぱり定義が明示されていないので非常に感覚的な説明になってしまいます。
一応画像に紹介されているアルバムを聞き比べた個人的な感想としては、Synthwaveとout runには雰囲気的な明るさでの差があるような気がします。Synthwaveは明るく柔らかい印象で、out runはそれに比べるとちょっとだけダーク。
Retro waveはどうなのかと言うと……正直もう良く解りません。名前の通り雰囲気がよりRetroな感じがする気がしますが、なんかざっくりとしすぎな上に判然としません。まあ個人の所感という事で大目に見てください。
この三つ以外に、画像の中では「Dark Synth」という名前があります。これはSynthwaveのサブジャンルとして有名で、違いも分かりやすい方です。
以前紹介したこの曲のアルバムなんかがそうで、Synthwaveと比べて非常に攻撃的なサウンドであるのが解ると思います。
Synthwaveが広まっていった切っ掛けであるdriveやHotline Miamiを見てみればその内容はなかなかに暴力的です。言わばDark Synthはその「暴力性」という点にフューチャーしたサブジャンルという印象です。
なので他と違ってノスタルジー的な要素はかなり薄いです。聞き比べてみれば結構違う音楽の様に感じられることもありますが、この暴力性という要素もSynthwaveというジャンルを構成するものの一つであるのは間違いありません。
Synthwaveのサブジャンルは多岐にわたっていて、画像に載っていないものも多くあります。それらがどういう別れ方をしているのかというのを見てみれば、二つのパターンに大別できます。
先ずは焦点を当てている要素による違いです。
Synthwaveが80年代を表現する音楽だというのは散々書いてきましたが、同じ80年代でありながらどの要素を強く表現するのかという点でサブジャンルが枝分かれしています。
先にも紹介したDark Synthですが、実はこれも80年代のホラー映画の雰囲気に焦点を当てたジャンルであるという側面もあります。他にはスポーツ番組にフューチャーした「Sweatwave」なんてのもあるようです。流石にこの辺りはちょっと良く解らないですね……。
まあ、大体こんな感じで中心となっているものが何かによって枝分かれしているという訳です。全部を紹介しているととんでもない文量になってしまうので、非常に申し訳ないですが他が気になる方は自分で調べてみてください。
もう一つは他のジャンルと融合したものです。こちらもSovietwave等色々ありますが、特にSynthwaveのサブジャンルについて語る上では「Chill Synth」に触れないわけにはいきません。
最初に紹介した曲がまさしくそのChill Synthにあたる曲で、その作曲者であるHOMEこそがこのサブジャンルのスターです。言わばSynthwaveにおけるKavinskyみたいなアーティストですね。
Synthwave自体がFrench Houseとnew waveの融合で生まれたジャンルであることは前回話しましたが、さらにChillwaveと融合することで生まれたのがChill Synthです。
Chillwaveはその名の通り非常にチルいジャンルで、これがSynthwaveノスタルジー要素と組み合わさることでさらにゆったりと、しかしエモーショナルな雰囲気が作り上げられます。それ故に、サブジャンルの中でもとりわけ人気であると言えます。
それを象徴する一曲がこれですね。
Synthwaveらしくシンセで構成されていますが、兎に角チルいです。目立ったメロディーは無いですが、やわらかい音が波のように揺らいでいて深みがあります。その雰囲気はもはや縹渺としているという他ありません。
なんとこの曲、HOMEが16歳の時に完成させたものらしく、やはり音楽に年齢など関係ないのだなぁと驚かされます。
Chill Synthの象徴とも言えるこの曲ですが、実はちょっと変わったサブジャンルのきっかけにもなりました。それがSimpsonwaveです。
Simpsonwaveは音楽ジャンルと言うよりは美学的なジャンルで、アメリカのアニメであるシンプソンズの映像にVaporwaveのトラックを組み合わせた動画のことを言います。この二つは絶妙に噛み合い、「チルできる」とネット上で話題になりました。
二つを組み合わせた動画は続々と投稿され、一つのムーブメントとなりましたが、その切っ掛けとなった最初の動画で使われていた曲こそが先ほど聴いた「Resonance」だったという訳です。
このジャンルについては特にこれ以上説明できることがありませんが、一つ見逃せない部分が有ります。それは、SimpsonwaveはVaporwaveのサブジャンルであるという事です。
さらっと流しましたが、Vaporwaveのトラックと組み合わせるのがSimpsonwaveです。Synthwaveの曲が使われることもあるみたいですが、大半の認識ではVaporwaveが使われている、という事になっています。
切っ掛けはSynthwaveであるにも関わらず、ムーブメントの主流となったのはVaporwaveでした。何故そうなったのか、正確なところは解りません。しかし、少なくともこの二つのジャンルが混同されたという側面は少なからずありそうな気がします。
実際、Synthwaveと検索してみれば「Vaporwave 違い」みたいな予測が出てくることからも、この二つの判別ができていない人は多いのが事実であるようです。
なので、ここからはVaporwaveとSynthwaveの違いについて書いていこうと思うのですが……。
文字数がやばいので今回はここまでです。なんと、私史上初の第四回に入ります。書くことがありすぎなのよね。
前回Vaporwaveについて書くみたいな予告をしていましたが、そこまで行けませんでした。ごめんなさい。まあ、そんなに書くことは残っていないので次回はちょっと短めで、その分早めに更新できると思います。
最後に何曲か紹介して終わりましょう。
サウンドから一目瞭然で、Chill Synthの文脈にあると言える一曲。MVはSynthwave的な要素をふんだんに盛り込みながらも、それだけではないどこか洗練された雰囲気を感じる。
ボーカルのおかげか郷愁を感じさせながらも非常にムーディ。他の曲と比べるとちょっと異質にも聴こえるがそれもまた面白い。